神奈川自治体問題研究所



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危機の時代の地域と自治体 デジタル化の狙いは何か

ー第49回神奈川自治体学校ー

11月7日、13日で189人が参加



 第49回神奈川自治体学校が横浜市健康福祉総合センターで開催されました。
 11月7日の本校、165人、13日の地方財政講座に24人、12月5日の地域経済・産業分科会に14人が参加しました。
 7日の内訳は午前の全体会に117人(うち全体会のみが38人)、午後の分科会に127人(うち分科会のみが48人)でした。いくつかの分科会では過去最多の参加者を迎え、熱心な議論か交わされました
。  今年のテーマは、「危機の時代の地域と自治体〜デジタル化のねらいは何か」。
コロナ禍の中、政府や財界は「デジタル化」を推進し、個人情報の利活用と国民監視、集権国家体制づくりをねらっていて、こうした「デジタル化」のねらいを解明し、憲法の理念をいかした、社会連帯と協同を基調とする地域と自治体の姿を探っていくことが今回の学校のねらいです。

<学校長あいさつ>
 まず、長尾演雄副理事長が、自治体学校長のあいさつを次のとおり行いました。
 「今回で49回目の学校ですけど、今年の学校ほど開催ができるのかどうかで悩まされた学校はありませんでした。最初にコロナがどうおさまるのか。それが何とか見通しがつきそうだと思ったら今度は衆議院選挙がまさにこの日にぶつかりそうな状況が出てきて、どうしようという悩みをずっと持ちました。そして相談をする場所もなかなか、コロナの時代では取りにくくZoom 会議で2回ほど相談をしてやっと今日迎えることができました。 そういう意味では、今までの49回の学校の準備というのはそれぞれ苦労もありましたけど今回ほど準備が十分できなかった学校はなかった。大変そういう意味では参加していただいた皆さんにいっそう協力していただいて、学校というのは参加者全員で作り上げるものだと、49回我々それを貫いてきましたけど、今年は尚更、参加者皆さんで学校の中身をしっかり作っていただきたいということを最初にお願いしたいと思います。思い切って議論し合って参加して良かったっていうような気持ちになればありがたいと思っています。
 先ほどの Zoom 会議に、私今年で84歳ですけど初めて参加した。1回目は色んなことを教わりながら参加ができて、このくらいで参加できるのか。そして日頃会っている皆さんの顔が見えながらパソコンで会話ができる、会議ができる、ということを経験した。2回目もできるだろうと思っていましたら、やっぱりちょっと操作をミスすると、参加できなかった。ですから、デジタルというのは大変便利なものであると同時に、年をとればとるほど大変しんどいことなのかな、こんな社会になってみんなが過ごしやすいのかな、という事を考えたりして、今日の全体会議でこのデジタルの問題を久保先生にお話ししていただくわけですが、しっかり学ぼうというようなことを私自身は経験しました。
 我々これまで血縁社会、地縁社会、これが衰退し、今度は会社を縁に持つような企業中心社会、会社社縁社会というようなことが叫ばれていて、それがちょっと下火になったと思ったら、今度はデジタル社会という形で議論がされてきている。なぜ今デジタル社会なのかみんなで考えていけば、それが持つ狙いみたいな事が見えてくる気がします。今日の久保先生の話をしっかり聞いて、デジタル社会の光と影みたいなところでしっかり学び、そういう社会の中でどう生きればいいのか、どう対処しながら生きることがデジタル社会をしっかり生き抜くことになるのかを考える。そういう機会にしていただければありがたいと思っています。
 それから特別報告を二つ作りました。一つは岡田弁護士さんに横浜市長選のたたかいとその意義だとか教訓をお話ししていただくということで、きっと衆議院選挙の結果を我々が十分読み込むうえで参考になるようなお話をしていただけるだろうと思います。それからもう一つが特別発言というような形で報告をお願いしている、あの熱海の災害。どう見たって事情が分かれば分かるほどあれは人災だ、あれを自然災害とは言わないというような気になっていますけど、そのことを直接関わっている方に報告していただく、話を聞くことができる、とてもありがたいと思います。
 午後の分科会は、どの分科会も準備不足は否定できません。参加された皆さんが一緒になって議論し合って、参加してよかったと思えるような、今日が意義のある1日となることを願って挨拶とします」。

<実行委員長あいさつ>
 次に、自治体学校実行委員長の水野博さん(横浜市従委員長)が、実行委員会を代表して次のとおりあいさつしました。
 「第49回を迎えるこの神奈川自治体学校につきましては新型コロナウイルスの感染拡大の影響や先ほど言われた通り総選挙の日程などにより、開催が困難となる状況も想定されていましたが、この間神奈川自治体問題研究所の役員の皆さんをはじめ各運動団体の皆さんにもご協力を頂いて、様々な議論を行う中で本日の学校を迎えることができました。
 午後の分科会を含めて、事前の準備からご協力頂きました関係者の皆さんには改めて感謝を申し上げたいというふうに思います。
 さて自公政権はこの1年半以上の間コロナ対策で迷走をし続け、国民の命と暮らしが脅かされてきたと思います。国民には感染防止のための3密を避けるような自粛を要請する一方で、移動を促すようなGO−TOキャンペーン、あるいは東京オリンピックの強行により感染拡大が急増したのではないでしょうか。新型コロナ危機で明らかになったように、国民生活よりも利益第一の新自由主義に基づく政治から、あらゆる分野で公務・公共サービスを充実させる社会と政治へ転換していくことが求められているのではないでしょうか。 また異常気象による自然災害が多発し、台風による大雨や河川の氾濫など住民生活に大きな影響が出ている元で、被災者への支援、あるいは災害復旧など国や自治体のあり方が問われていると思います。
 横浜では8月に市長選挙でカジノ誘致撤回や子供医療費、出産、敬老パスの三つのゼロ、中学校給食の全員喫食を政策に掲げた山中市長が誕生しました。
 この事は住民自治を守るために奮闘した市民と野党の共同の結果ではないでしょうか。 一方、自治体戦略2040構想あるいはSociety5.0の推進、デジタル庁の発足によって自治体のデジタル化が進んでいます。自治体が持っている個人データを、条例を改正することで民間企業が利用しやすくする事、窓口業務のAI 化によって職場を無人化することによって、公務員を削減するスマート自治体やさらには都道府県・市町村の二層制を柔軟化する圏域単位での行政スタンダード化、スーパーシティ構想などコロナ禍を利用して地方自治の変質が加速をされています。
 こうした情勢の下で、憲法を守り活かす取り組みや地方自治を守る取り組みが重要になっています。この間、自治労連では一貫して自治体労働者の生活と権利を守る課題、仕事を通して住民全体に奉仕する課題、この二つを中心に掲げて統一的に運動をすすめ、全ての職場と地域で憲法を守り、地方自治を語り合い、憲法を生かし守る取り組みを進めてきたところです。本日の自治体学校を機に地域で住民と自治体労働者との共同を広げ、議会や住民団体も含めて自治体のあり方を問い直すとともに、地域の要求を実現させるためも一緒に議論をしながら力を合わせていくことをお願いして、実行委員会を代表しての挨拶に代えさせていただきます。今日1日よろしくお願いいたします」。

<記念講演>
 自治労連・地方自治問題研究機構主任研究員の久保貴裕さんが「国の『デジタル化』戦略と自治体の役割を考える」と題して記念講演を行いました。
記念講演の大要は以下のとおりです。

<デジタルの技術を自治体に入れることをどう捉えるか>
最初に、デジタルの技術を自治体に入れることをどう捉えるかです。デジタルは技術ですから使える技術は有用な技術であれば住民のために役立つかどうか、役に立てば使ったらよい。自治体職員の労働負担の軽減に役立つのか、それならばむしろ積極的に有効に入れたらいいと思います。ただ問題なのは、デジタルはまだ最新の発展途上にある技術ですから、現段階では未完成です。有用な面があるけどもセキュリティを一生懸命万全にしたつもりでも、実はまだ穴があったというのがいっぱいある。 
   もう一つは住民の願いとか住民の要求とは違う目的から、誤った使い方すれば、今まで以上に住民に大変な被害、人権侵害が起こる。そういった諸刃の刃を持っているのがデジタル技術だ、ということを見なければなりません。デジタル技術で問われているのは誰が何の目的でどのように取り扱うのかということです。この観点で私たちも問題を捉え考えていくことが大事ではないか。
 国はデジタル化の司令塔としてこの9月にデジタル庁を発足させました。これは今までの省庁とは全く違う二つの特色があります。
 一つ目は、強力な権限が与えられている。内閣に直属する常設の組織というのは、史上初めてのことです。ですから内閣総理大臣の直轄のもとに、国の他の省庁に対してデジタルのシステムやデジタルかにかる予算は一手にここが握る。こんな庁は今まで作られたことはありませんでした。それだけの強力な権限を内閣総理大臣のもとに置く。 それからもう一つは民間企業から人材登用している。この強力な権限がある庁に民間企業の方をどんどん積極的に取り入れ、要職につけていくという、そういったことが大きな特色かと思います。
 デジタル庁の掲げる方針に基づいてこの国の方針を全国の地方自治体に実行させるため、いわばデジタル化を国のデジタル庁の方針通りで貫徹させるための計画というのを出しました。以下の四つの論点から話をしていきます。
一つ目、行政の公正性が確保されるのか。
二つ目、住民の個人情報、プライバシーは守られるのか。
三つ目、これまで地方自治体が独自に行って来た住民サービス、これが実施できるのか。
四つ目、オンライン AI で住民の暮らしが守られるのか。
 他にも論点があるかもしれませんけども当面デジタル自治体で導入するにあたってはこの四つが大きな焦点となります。ここを、問題意識を持ってしっかり見ていくことが大事じゃないかなということを話したいと思います。

<焦点1.行政の公正性が確保されるのか>
 焦点1、行政の公平性を確保できるのかということです。国は自治体版デジタル庁をつくれと言っていて、その体制というのは、首長のもとに新しく「CIO」、何かというと最高情報責任者、自治体の中のデジタル化を全て取り仕切る、最高責任者のポストを新たに設ける。ここに強力な権限を与えるということで、まあできればこれは副市長クラスの人が望ましい。問題なのはこのCIOの横に「CIO補佐官」というのを付けて、CIO に助言をして権限行使をさせる。このCIO補佐官に、積極的にデジタル企業の民間企業からの人材をどんどん入れてください、CIO補佐官に民間企業から人材を入れるのであれば、それにかかるお金の半分は国がわざわざ持ちましょうと言っています。いわば財政誘導で国の言う通りに従わせるような体制を作らせようとしています。これに各自治体はどう対応するか。別に言うこと聞く必要はありません。この通りにしなければならないという法律なんかありません。総務省は、これはあくまでも助言ですから判断は自治体でやってください、と言っていますけども各自治体はどう対応するかということかと思います。
 パターンは共通しています。組長がトップにいて、そのもとにCIOがいて、CIOの横にCIO補佐官。この3人の体制で、すべてトップダウンで取り仕切る。CIO補佐官や各部署に民間企業の人材を入れようと言っていますけども、働き方がいわゆる公務員とは全く違う。民間から登用する人材は回転ドアのように企業と自治体を自由に行き来できる。今までも、民間企業のそれなりの技術や専門性を持った人、いろんな条件を付けて自治体の仕事にちょっと手伝ってもらうとかアドバイスお願いするとか、そういう例はいっぱいありましたけど、こんな働かせ方っていうのは今までなかった。平井デジタル改革担当大臣(当時)が触れています。デジタル庁には民間企業から人材を入れるんだと。デジタル庁で職務経験を積んで民間でも活躍できるリボルビングドア、回転ドアの仕組みを構築しようと考えていると言っていますけど、これを自治体でも広げようじゃないかと。どんな働き方かというと週2、3日の勤務で(役所が)自分が所属している企業とも兼用できます。役所に出勤しなくても自分の会社の机の上でテレワークしてもいいよと。役所の敷地外の企業の自分が座っている机の上で実際の情報システムを触るわけです。これ情報管理どうなのかというと、大きな問題になる。
 もう一つは CIOなどは一人で複数の自治体を兼務することができるし兼務に制限ありませんということです。例えば、広島県の福山市などは民間企業の社員が、CIO補佐官みたいな事やっていますけども、他に姫路市とかね愛媛県とか熊本県の錦町、そのCIOも兼務しています。一体それで本当に役所に腰を据えてその地域の住民と向かい合った仕事ができるのかと。
 さらに大事なのは、役所の仕事をしてもらうのに公務員に課せられる服務規定の適用はありません。守秘義務とか兼業の禁止とか職務専念義務とか全体の奉仕者として役所で働く上では厳しい服務規律があるでしょ。守秘義務に違反すれば、単に契約違反では済まない、刑事罰が課せられるぐらい公務員には厳しい守秘義務が課せられてきているわけでしょ。それだけ自治体の取り扱う情報とか個人情報の取り扱いはしっかりしなきゃならないという、原則のルールがあるのです。しかしそういった仕事をやるにもかかわらず、民間企業から来る人は毎日来なくていいよ。役所に来なくていいよと。公務員の守秘義務とかそういった適用がありませんよと。自由に企業と役所に出入りして自治体のデジタル化の仕事をしてください、みたいな働かせ方。これに対して総務省も「確かに問題ありますね」ということは言う。でもどうするかというのは、「それは各自治体で考えてやってください」というレベルです。これに地方自治体はその通り従うかどうかということが大きく問われていると思います。
 ひとつ例を出しますと、ご当地神奈川県。ここはCIO補佐官じゃなくて、CIO。本来ならば副知事という、議会の承認の手続きを得たそういった人しかできないということを、総務省が言っているこのCIOに、株式会社 LINE の現役執行役員の方を、会計年度任用職員のパートタイムで(これも驚きですが)任用させたということで、全国で突出している民間社員の任用例だと思いました。黒岩知事の記者会見の中において、もう LINE との蜜月ぶりをアピールしている。ちなみに神奈川県のこの人材登用の仕方は国の総務省としても想定しておりません、と言っていました。一つは CIO補佐官は、民間企業の社員を付けることはあっても、CIOという権限のある業務に民間企業の人を付けることを想定していなかった。また、CIO というのは司令官ですから最高の管理職ですよ。その管理職に会計年度任用職員をパートタイムで任用することを元々想定してなかったですね。会計年度任用職員。自治体職員を安上がりで何時でも雇い止めできるように、使い放題で使い勝手に使うと我々も問題視しているんですが、これを逆手にとってですね、まあ自由に行き来できるような雇い方っていうことで、会計年度任用職員のパートタイムでというやり方が、企業のLINEの側の都合にとって良かったんでしょうね。まともな公務員としての規制もなく毎日出勤しなくても良い。しかし権限は CIOというものすごい権限を握ることができる。これひっくり返してみると、企業にとってこれほどやりやすいやり方はない。
 企業の人材を使うことは全面否定しないものの、しっかり行政の公平性を保つような体制が必要かと思います。住民にとって重大な問題があったら使っている企業の動きを止めたり、場合によっては次の入札、考えさせていただきますねという、厳しい対応が自治体は必要ですが、そういった判断をする当の責任者が LINE の社員だったらどうしますか。自らの企業に不利益になる事、しかし住民にとって必要なこと、どちらを取りますか。私は住民の立場に立った対応をする保証はないと思います。そうなると単に行政がデジタル企業によって歪められる問題を飛び越えて、地方自治体そのものがデジタル企業に支配される恐れも出てくる。このような進め方でいいのかということを、しっかり皆さんも自分たちの自治体の動きをチェックすることが大事だということを強調しておきたいと思います。

<焦点2.住民の個人情報、プライバシーは守られるのか>
いま全国の自治体は、個人情報保護条例を設けています。地方自治体の住民や有識者がみんなで相談して自分たちの情報はしっかり自分たちで守るような、ちゃんとした条例作りましょう、ということをやってきたので、結構住民の権利を守る良い条例があると思います。改めて皆さんの自治体の今の個人保護条例もう1回チェックしてみてください。
1.個人情報は本人から直接本人の同意に基づいて収集する。本人の知らないところで個人情報を収集してはいけない。
2.センシティブ情報といって、思想信条とか病歴とか漏れたらまた大変変なことになる配慮すべき情報は基本的には収集しない。
3.収集した個人情報は収集した目的以外には使用しない。
4.個人情報は外部に提供しない。
5.オンライン結合の禁止。
 この基本的な中身は、個人情報保護条例で、皆さんの自治体でも制定されてきた。これの例外がある場合は自治体ごとに第三者の有識者を迎え入れている個人情報保護審議会で、個別に審議して決めている。ですからこのやっぱり1から5の枠組みというのは非常に大切ではないかと思いますし、結論から言えばこれを本当に国がいろいろ言ってきてもしっかり守り抜くことができる。これが今大きな焦点になってきていると思います。
 実は、経団連などの財界はこの自治体の個人情報保護条例にものすごい攻撃をかけています。昨年の報告書では、こういった自治体の個人情報保護条例が官民や官どうしでの円滑な情報流通を阻害していると。先ごろ成立したデジタル改革関連法において、いわゆる個人情報保護法制を「改正」私の言葉では「改悪」して、国が地方自治体の個人情報保護条例に対していろんな口出しができるような仕組みが法律で作られてしまった。これに対して、どの程度地方自治体として抵抗できるか、今行政法の先生も入って研究をしていますけども、個人情報保護条例が危ないということを、しっかり見ておいていただきたいと思います。
 個人情報は基本的人権の問題ですから、今までは「保護」を前提にした条例、法律だったけどこれからは「保護と利用」のバランス、この考え方で法律と自治体の条例見直してくださいね。国も地方自治体も個人情報保護と利活用の両方の統一ルールを定めますから、各自体の皆さん、国が定めた統一ルールに基づいて各々の条例をもう1回見直してくださいねと。
 民間事業者から自治体に対して、住民の情報で本人が誰かということを個人名が特定できないように、匿名加工した情報を提供してくれませんか、という要請に、基本的に地方自治体が応えなきゃならないという法律も今回入れられた。当面法律で義務付けられたのは都道府県と政令指定都市ですが、一般の市町村でもその気になればやってちょうだいねと。ただ、前提条件があって、そういった情報を提供するには、特定の企業の利益になるのではダメだと。まあ経済の活性化とか、そういった「公益性のある利用目的に限り」ということがあるんですけど、何が公益性のある利用目的かはまだブラックボックス化しているのです。これからは「保護と利用とのバランスだったら一定公益性があっていいんじゃないか。」みたいな形で今まで提供されなかった情報が提供されることもあるだろう。
 実は国が先行してもうこんなことやっています。例えば文科省では原子力損害賠償紛争センターに福島の被害者がいっぱい訴えている、その人の情報をくれとか、防衛省は、米軍横田基地訴訟原告団の情報だとか、個人名とまでは言ないが、個人名はわからんように匿名加工してくれたらいいですよと。でも匿名加工情報だとしても複数の情報をどんどんどんと照合していけば、大体これはこの人だなということがあるでしょ。そういったようなことも新たにできるデジタル改革関連法の法律ができた。これに対してどう対応するか。やはり基本的に私は個人情報保護条例を守りぬくことじゃないかと思いますが、そこをしっかり見ていくことが大事なそういう時期に入ってくるよ、ということです。
 堤未果さんも(著書「デジタルファシズム」の中で)警告していますけど、自分の個人情報がいろんな形で企業や権力にどんどんどんどん握られて、自分の知らないところで自分はどういうランクの人物か、自分の知らないところで自分はどういう傾向の人物かということが、それが正確かどうか別として、描かれつかまれてしまう。これから自分が行政や民間企業に色々な買い物したり、サービスを要請する時に、色々申請したら相手の方が既にこの人は大体こういうランクで、所得はこういうランクの人だと、病歴とか健康状態とか性癖はこんな人だと、分かっている。そういった形でランク付けされ、プロファイィングされる。ですから個人情報の問題はこれから各自治体でも個人情報保護条例どうしましょうかという議論が、当局や議会で始まってきますので、そこに対するいろんな運動が必要じゃないかということを話しておきたいと思います。

<焦点3.地方自治体の独自の住民サービスが実施できるのか>
 地方自治体の独自の住民サービスが実施できるのか。これも大きなポイントです。今回、各地方自治体が今まで住民サービスのために独自に情報システムを開発してやってきましたね。それぞれの地域の状況に応じてデジタルシステムを作ってきたんですけど、これからはそれだめよと。地方公共団体が行う住民サービスの情報システムも今までばらばらでやってきたけどもそれやめていただいて、これからは、国は標準仕様と言っていますが、その標準仕様に適合しなければなりませんよっていうことが法律で義務付けられて、今各自治体はこれから1年、2年ぐらいの間かな。自分のところの自治体の住民サービスの情報システムを国が示す仕様書に合わせるためにどうしたらよいか、その仕様に合わせるシステムを作るためにどこのデジタル業者さんと契約を結ぶのかということが大変な作業にこれから入ってきます。対象となるのが17の業務ですね。住民登録から社会保障まで、皆さん名前聞いたことあると思いますが、自分たちの暮らしに大きく関係ある事務ですね。これに関わるシステムは全てこれから国が定める標準仕様に従ってください。自治体独自でなんか色々システムを色々カスタマイズは原則禁止です。国の定める仕様書に絶対従ってくださいねということがあって、自治体の現場では今これへの対応が大変になっているのではないかなと思います。
 問題なのは、各自治体の皆さんいろんな住民運動で国の制度にはないけど、自治体独自の住民サービスいろいろやってきているでしょ。住民税の減免とか国民健康保険・介護保険の保険料の減免とか妊娠届出書に特殊なアンケート項目を追加してね、いろいろ妊婦さんの状況をつかもうとか児童扶養手当の独自加算とか子供の医療費助成とか自治体独自で築いてきたサービスの水準が色々あるでしょ。これもシステム化してるでしょ。これが国の標準仕様書にあわされるのはいいけど独自のサービスがどうなるのか、ちゃんと続けられるのか、ここが大きな焦点になってきています。国はこの問題で、国会で平井大臣は「大丈夫です。国会で 住民のための独自のサービスをやってる業務につきましては、これからも、これまで通り提供できるように努めてまいりたいと思います」。これは大事な答弁ですね。しかし、あくまでも基本姿勢を言っただけで、大臣はそう言っているけども、具体的に標準仕様なんかをどうするかというのはすべて各府省の責任でやってちょうだい、ということです。特に厚生労働者の関係が多いですね福祉の関係では。各府省に丸投げ状態なので本当に各府省が標準仕様書を作る時に、児童扶養手当はそれぞれ上積みができるような標準のシステムになっているか。あるいは国民健康保険料、介護保険料がいろんなばらつきがあるけど、独自の減免措置を各自治体でやっているけど、それに対応できるような仕様書になっているか。ここはちょっとチェックが必要ですね。自治労連も実は来週厚生労働省と1回目のヒアリングをして特に介護保険と国民健康保険の中で、色々独自のことを自治体がやっているからそういったことが引き続き出来るような標準仕様書になっているのかどうか聞いてこようかと思っていますので、国に対してちゃんとやれよということが、今焦点かと思います。
 もう一つは標準仕様書に基づいていわば自治体がやりたかったらオプション追加機能とかいうのですかね、そういったものができるような標準仕様書にしようと、仮になったとしても、じゃあそれで行くとしようとなったとしても、良くしようと思ったらお金がかかるでしょ。国の標準でやったらこうですけど、オプションでこれを付けるのであれば金かかりますねってことで、そうなると今度は自治体とシステムを開発するデジタル関係業者さんとの交渉になる。住民の暮らしを良くして利便性を高めるためのデジタル化が、デジタルのシステムに住民の暮らしを、制度を合わせるような話になってはいかんのです。ここはしっかり役所の中でも頑張ってもらいますけども、住民の側がですね、「デジタル化で今までうちの自治体ではこういった独自の住民サービスやってきたけども、これちゃんと維持できるでしょうね」。そういった運動はこれから必要じゃないか。特にクラウド化ということで、特に小規模の自治体ではありますけども、一つのシステムを複数の自治体で、共同で使うところでは「他の自治体のシステム合わせようと思って、うちだけ違うことやろうと思ったら金かかるからやめにしましょうね」。という例が富山県の上市町で、あるいは滋賀県の甲賀市ではありましたが、そういったことが神奈川県下の市町村では起こることがないように、「今まで通りの独自サービスが引き続きちゃんとできるんですね」。ということは、しっかりチェックが必要だということは、強調しておきたいと思います。

<焦点4.オンライン・AI で住民の暮らしが守られるのか>
オンラインの申請自体は、否定する必要はないと思います。場合によっては、人によっては便利な面があるので、オンライン申請は是々非々で対応したらよいと思います。ただ問題なのはそれで住民サービスが守られるのかということですね。国のオンライン・AIの目的は、自治体戦略2040構想にはっきり書いています。これからはAIとかオンラインを使って、自治体職員が今の半分でもまわるようにしましょうということで、対象となっているのは窓口です。「住民にとって窓口に来ること負担でしょ。もう窓口に来なくても所記の目的が達成するようにシステムを変えましょう」。そういったことを堂々とうたっている。総務省の担当者は、公の文章ではまだ言っていませんけども、デジタル担当の重要な権限を持った職員の方は、これは私個人の意見ですが、と断りながら、これからのデジタル社会の窓口業務やり方の論文を出して、「これからは住民とデジタル AI だけで完結するような窓口を目指す。窓口を便利にするんじゃなくて窓口をどうやってなくすかという立場でオンライン申請を考える」と言っている。オンライン・AIを使って、窓口業務を住民のためにより良くするということと、自治体職員をゼロにして窓口を無人化しようということは質が異なる問題です。ここはよく整理をして住民のためになるオンライン・AIだったら是々非々で個別に対応して判断して、良ければやらしたら良いと思います。
 もし窓口業務が、これから職員がいなくなってオンラインだけなったらどうなるか。埼玉県深谷市で窓口の手続き、申請書を紙に書くんじゃなくてタブレットでやったらもっと早くすむだろう、タブレットですべて自動処理したらもっと早く済んで、職員も減らせるだろう、どれだけ減らせるか実証実験しようということを、総務省のモデルプロジェクトでやりました。市民の方が窓口で、タブレットで全部入力してもらって、全て本人確認を含めて顔認証も入れて自動処理してやった。さあどれだけ時間が短縮できてどれだけ職員が減らせるでしょうかという実証実験をやった。その結果、タブレット申請書作成は年齢で違いが出る。比較的若い方は紙で書くよりも確かに早くできた。平均で行けば13秒短縮できたそうです。ただ私みたいな60代の人は反対に書くよりも申請の時間が大幅に増えちゃった。全体の平均は短縮したけど年齢ごとに違いがでた。これをどう見るか。二つ目、顔認証による本人確認、なりすましや偽造を探知できませんでした。三つ目、この実験は市民が参加せずに職員が市民役になってやったもんですから、実は窓口の現場ではタブレット申請で「これどうなってんの」とか、「今日これできたけどついでにこのことも聴きたいんです」とか、いろんなのあるでしょ。それに職員の方は対応しないといけないけど、それにかかる時間っていうのはあの実証実験では十分検証されなかった。それはそうでしょう、職員が住民役になっているから。それで深谷市の結論。「全ての窓口をオンライン化するんじゃなくて、対面窓口など住民それぞれのアクセスしやすい窓口のありを併設することが現実的である」。つまり全ての窓口オンライン化、無人化することは無理という結論になっちゃった。総務省はお金出して深谷市に実証実験やってくれ、そしてタブレットで申請して、時間短縮できて、職員の人件費を削減できたという結論に持って行きたかったけども、現場はそうでなかった。深谷市とすれば、確かにオンライン申請は便利で今後もやりたいけど、しかしやっぱり対面窓口との併設が現実的になっているわけです。しかし国は違う。オンラインで将来的な窓口ゼロ。ここがこれから各自治体でも大きな焦点になってくるので、皆さんの自治体どうですかってことのチェックお願いします。
 もう一つは住民からの問い合わせに最近職員抜きでAIが自動回答するシステムが入ってます。先進的に入れた愛知県豊橋市に私が問い合わせるとこんな回答。「国民健康保険料と市民税と水道料金三つ滞納して生活に困ってます。どれを優先して払ったらこういう場合良いでしょうか。」これは窓口で実際に寄せられる相談ですね。これに対する回答は「督促状が届きます」。そう言われたら住民びっくりして、もうそれから先役所との接触を逆に避けようとしますね。AIは場合によっては機能が優れていると思うけども、あくまでも過去の蓄積されたデータを入れなかったら判断できませんから、だからそれに基づいて過去どういったものが最適だったのかっていうのを選び出して、パターンを選び出して、新しい事象に適用するんですけども、過去のデータに偏りがあったり、あるいは10年ぐらいまでやったらその行政の対応は妥当かもしれませんけども、今の状況から言うと対応を変えなければあかんなとか、法律を変えたとか、いっぱいあるでしょ。そんな時 AI はどうしても蓄積された過去のデータに縛られちゃうよという限界があるんです。AI は確かに有能です。使ったらすごいなと思う。でもしょせんは道具ですから、何が有効で何が限界あるか両方見て、使えるものは使ってくださいという、対応が必要かと思います。
 川崎市ですね。AIに住民対応させたら下手したら職員の知らないとんちんかんな回答をしたら怖いな、ブラックボックス化するな、ということで、愛知県豊橋市と同時並行で実証実験やって、愛知県豊橋市は取り入れたけど川崎市は取り入れることを見合わせた。賢明な判断だと思います。川崎市も今年3月から独自のAIチャットポットを入れたので、使ってみたんですけど、豊橋市とは違うやり方をしています。豊橋市は全てAIで回答させるけども、川崎市はあらかじめ予測される市民の質問項目を複数作って、その想定に対する回答を職員自身が作って、その中から市民に近いものを選んでいただく。それでもわからない場合はどうぞ職員の方に相談してくださいっていう、そういったシステムです。
 窓口業務というのはそもそも職員が対応することが大切だということがある。その住民にとって、その住民が気づいてないことでも、「あなたの権利を保障するためには、こんな支援策があるんです。」ということを、いろんなやりとりの中で教えてやって、住民を最善の行政サービスにつなぐということが職員の仕事ですから、単に申請書が早く手に入りますよとか、役所に足を運ばなくても家からスマホで簡単にできますよ、ということだけで職員をゼロにしましょうか、という判断はあまりにも乱暴じゃないですか。AIが有効なのか。デジタルが有効なのか。有効な部分があれば使ったらいいと思いますけども、それを入れることによって対面窓口が持っている役割がそこなわれることがあれば、自治体の役割を失うことになるということを強調していきたいと思います。
 以上の四つの焦点をもとに、当面、国のデジタル化戦略にどう臨むかということです。
一つ目、デジタルの体制の問題は、あくまでも住民と職員の意見を反映し行政の公平性を確保する体制で取り扱わせる。トップダウンではなくて住民の声や職員に意見が反映させる体制。民間企業の人材、当面必要なら使ったらいいけども、そこにはちゃんとした規制が要る。そもそもデジタル人材が不足しているというなら民間からの借り物じゃなくて、正規の公務員と専門職として系統的に育成する体制を取れ、こういった基本をとらせていくことが大切かと思います。
二つ目、住民の個人情報プライバシー権を守る。特に自治体には、個人情報保護条例で築き上げてきた大事な保護規定あるでしょ。これに対していっぱいこれから介入が来ますから、これまでうちの自治体で築いてきた住民の個人情報保護のルールをしっかり守らせる。むしろ充実させていく。国に対するたたかいは当然必要ですが、各自治体でもそういう時期に入っているよということです。
三つ目、自治体独自の住民サービスをしっかり新しい情報システムももとでも行えるようにさせることが必要だと。細かい技術の話は要りません。「これまでやってきた独自の住民ちゃんとできるんですね。これから新しい住民サービス、私たち要求していきますけど、そういったことにも対応できるシステムになってるんですね。」これだけでいいので、この要求をしっかり挙げていくことが大事かと思います。
四つ目、今日は窓口業務を中心に職員の果たす役割を話してきました。行政の職員というのは、住民と行政サービスの最前線の仕事するのが窓口職員ですから、デジタル技術は導入できることは導入したらいいけど、職員を減らしてこれに置き換えるという代替手段で使うんじゃなくて、職員が住民のためにより良く健康で効率的に仕事ができるための補助手段として使うべきだと。国が言っているように、AIデジタル入れたらその分職員やめにしましょうかではなくて、結果として行政が効率的になって、職員が10人でやっていたのが7人でできたということはあると思います。いきなり職員を減らすことを目的にするのではなくて、職員がより良い仕事をできるための補助手段としていく。やっぱりデジタルを過信したらダメですよ。災害が起こったらもうデジタル吹っ飛ぶでしょ。あとで熱海の話があると思いますが、そんな目に何度もあっている。平時しか想定していないようなデジタルシステムというのが多い。平時がそうであっても、災害になったら色んな予測できないことがある時に、「デジタル化で職員おらんようになってしまった」では話にならんわけです。デジタルを入れても、デジタルが機能しなくなる時があるわけです。その時にどうするのかということも十分シュミレーション、想定したうえで、デジタルを入れたらよいと思います。こうした議論を今丁寧にするべきだと思います。

このほかに論点はいろいろあると思いますが、当面する国の自治体戦略に対して地方自治体がどう対応するかのポイントを話させていただきました。 改めてこの時期住民にとって本当に責任の持てる行政サービスができる自治体をつくっていくために、今日を機会にまた議論していただければと思います。ありがとうございました」。

<特別発言>
記念講演に続いて、「熱海盛土流出事故被害者の会」の太田 滋さんの訴えがありました。
今日はこのような場をお借りして発表できることを光栄に思っています。どうぞよろしくお願いします。
 私はこういうところで発表するということが好きではありませんで。あの皆さんの前に出てくるのは結婚式以来かなって言うな感じです。ここのところのあの普通、土石流の事故っていう風に言われていますけども、私たちはその盛土流出事故っていう風に言っています。この資料集の中に、私の書いてあることが載っているんですけども、その中身をお話をさせていただきたいと思っています。最後に書いてあるんですけども、最後の被害者になりたいっていうような気持ちでおります。
 私も熱海市の職員でいて、6年くらい前に辞めています。最後の所は農業委員会の事務局にいたんですけども、そこのその4人くらいの、農業委員会の職員は一人の職員で私だけですけども、まぁ一人親方みたいな形で横の所は農林水産室といって、森林法をやってるところですね。そこの中でも話は全然私は知らなくて、もし兼務ですのでハンコを押していれば、そこのところの責任は何もそこのところ覚えていないですけども、ハンコを押したことがあればそこの責任はきちんと取らなければいけないそういう風に思っています。
 伊豆山地区、このところは伊豆山神社というところを中心に栄えてきたところで、もう鎌倉幕府、「いい国つくろう鎌倉幕府」から8百数十年、「いい国作り損ねて8百数十年」みたいな形になっちゃってるんですけども、伊豆山地区は2200世帯で3500人くらいが住んでいました。そこのところで26人が亡くなって、まだ一人行方不明で、そこの捜索活動されている方も一人亡くなっています。それで28人が亡くなっているということなんですけど。
 当日7月3日の避難の時には、10時半頃から2回くらい停電がありました。その時に市の防災無線が入りまして、「伊豆山で土石流が発生しました」という放送が聞こえたんですけども、伊豆山には川が何本かありまして、自分が住んでいるところ、そこは遭初川すぐ横なんですけど、自分はもう安全だと思っているんですよ。だから一体伊豆山のどこで発生したのかなと思ってうちの横が逢初川なので見に行ったら水が何にもない。電柱が、3mか4mのコンクリートの電柱が川底のところに横たわっていて、下のところには石が、今まで真っ黒な土砂と一緒に泥水が流れていたものが、何も水がない。これはまずいということで、家族4人無事だったので、避難したんですけど、その時はほんとに冷静で、うちの玄関のカギを、貴重品を持って、自分の玄関の鍵を閉めてすぐ戻ってこよう、そんな気持ちでいました。だからカギを持って行ったんですけど、実際家に戻ると玄関がないから開けるドアがないというような状況でした。他の方もそんな方がいらしたんですけども。気が付いてから、逃げるまで10分、15分くらいあったんですけど、逃げるときは、上のもっと上流側にある家、よく写真で、YouTubeなんかに出てきた、茶色い建物の下にあった家が、上からぶあーっとくるような感じでうちの方に向かってくるわけですよね。その中を逃げてるんですけども、逃げてもう何にも怪我もなくしてるんですけども、子供達を連れて逃げてるときに、後ろを見るとそこで止まってしまうと1秒でも2秒でもほんと無駄な時間というか、後ろにいるものが一緒に流されてしまうのではないか。そういう気持ちがいっぱいあって、後ろを全然見ていなくて、最後にこうやってきたのが私のように最後の記憶ですね。現場で実際見た時のそんなような状況でした。
 避難先では熱海市、地区の公民館に逃げてあとその日のうちに熱海の場合は宿泊施設がたくさんありますので、一泊目は近くの宿泊施設、2日目からは皆さんご存知の通り「熱海ニュー富士屋ホテル」というところに580人くらい、600人くらいの方がそこに避難して、他の所にも避難しています。その一番多い時に5百何十人もホテルに避難するってことになると、今までの公民館とか体育館とかそういうところで避難してるよりも、そのコロナ対策、プライバシーの関係、食事の関係とかすごい恵まれてるので、1日目より二日目の方がどういうわけか人が多いんですよね。これもなんか変な話で、二日、三日たって自分の家が安全だと分かった時点で、戻った人が「いい静養ができた」そういうようなこともありました。
 義援金のこともあります。私はいっぱいもらってるんですけども伊豆山の小学校の校区全体で一人そこのところにいる人は5万円。皆さんからの支援金、被害がなくても5万円いただいています。それは皆さん一生懸命出していただいたことに対してありがとうございますって言うんですけども、本当に義援金を出して頂いた方の気持ちに、それはなってるのかなっていう気持ちもあります。そんな不思議な気持ちがいっぱいあります。
 私の書いたものの最後の所に写真が右下にあるんですけども、これはテレビからの写真で、右側にある建物は消防団の詰所なんですけども詰所それがもう本当に3階建ての建物なんですけども、そこのところの辺まで土砂が飛んでいる。詰所の中には左側の重機の爪があるところそれがしばらくたった3日くらい後の写真なんですけど、この下のところには消防団の消防車が土石流に押されて奥の方に止まったままで、現在もそういうような状況になっていると思います。右の上の写真、2枚ぐらい前にその大きいトンパックって言うんですか黒いいっぱい積んであるもの、そこの左の上の建物と同じなんですけどこれも3階建ての建物で、2階までは土砂が抜けちゃって何にもない状況で、そういうな状況にありました。 土石流が流れてくるときというのは、木造の建物ですと一瞬土石流が止まる。止まるとその直後に建物は宙に浮いてて流れていくとそういうことを聞きました。そこの人は自分の住んでいる家の目の前を下って上がって、そこが玄関になるんですけどそのっ玄関の先まで、土砂が流れていて、逃げることもできずに、私はここで前の山が崩れたら死ぬんだなと、いうような思いをして、4時間くらいそこにいて、裏の方からほかのうちの金網を破るようにして助け出してもらった。近所のお付き合いというものが、非常に大切になるんじゃないかなと思っています。助けてくれた方というのは、復旧作業中に亡くなられた方のお兄さんなんですよね。だからいつものお付き合いっていうか、そういうのも大切ですけど、なんで復旧作業中になくなってしまったのかなって、そういうことも含めるとなんと言って表現していいんだか、私にはまだ整理がつかないです。
 本当にその7月3日。4日から全国の皆さん、地元のパン屋さんは毎日、私たちが避難所を出るまでずっとパンを持って、昼めし用には避難している人のためということで、持ってきていただいたり、全国からいろんな人の援助で今、私は生かされていると思っています。生きていて、文句はいっぱいあるんです。行政に対してすごいいっぱい文句あるんですけど、文句言えるということは、生きているからかなって思っています。本当に28人亡くなられた方は文句を言いたくても言えない。中にはほんと高校生のお嬢さんもいらっしゃいました。若いからいいんじゃなくて、誰しも明日があって未来があって夢があったと思うんですよ。それをこんなことで断ち切ってしまうということは、非常に悲しいことで、何と言ったらよいか、わかりませんがそういうような気持ちです。未来があるのを勝手に、行政、一番悪いのは業者、小田原の業者、施工業者、今の持ち主、市、県、国どこかがそれを止めていれば、そんな事故は起きなかったと思うんです。それができなかったのは、本当残念でその尻拭いを今私たちが、私は今、税金を払ってないような状況ですけど、皆さんの税金で尻拭いをする。ボランティアの方も言い方は悪いですが、ボランティアの方にも言っています。「こんな仕事はしたくないよね」。もっと積極的な、今マイナスをゼロにするような仕事をしてもらっていますがそれをゼロからプラスにするような、積極的に何かすればもっといいことができるんじゃないかと考えています。
 私が、災害にあって失敗したと思うことは、地元のことをもっと知ろうと。安全を自分たちの安全を確認しなかったからこういうことになっちゃったふうに思っています。今回の教訓で市としてよかったっていうのは、避難所を一か所にしたということ、非常に管理がしやすくなった。後コロナの対策とかもありました。住民としてもよかった。プライバシー、家族ごとに一部屋ずつしてもらって、食事も朝と夜はバイキングで食事ができました。昼は先ほど言ったようにパンなどが配給されるということがありました。トイレの心配もお風呂の心配もなかった。これはこれからの避難所運営の、こういうことはなかなかできない。熱海でコロナがあったから、できたことで、でもこれはこういうことができるんだって事を皆さんで新しくそのようにしていただければありがたいなっていうふうに思います。悪かったっていうのは避難者がお客になっちゃった。周りのホテルにいる人はどこの人だかわからない。まとまって何かしようとすると、市が借りてる施設だから勝手なことはするなと、そういうようなことがありました。
 これからの参考にしていただいて、自分の安全は自分で守る。自分が危ないなと思っていることと、周りの人が危ないなと思っていることが別々の場合がたくさんあると思いますので、周りともコミュニケーションをとって、地元のことを確認していただければ、より良い安全な、そして安心してはダメなんです。安善を確認しないとダメなです。私は勝手に安心してたからこういうようなことになってしまいましたので、そこのところを留意していただければと思います。今日はどうもありがとうございました。

<特別報告>
 午前中の全体会の最後は、弁護士でカジノ反対の市長を誕生させる横浜市民の会共同代表の岡田尚さんが、「横浜市長選挙をたたかって〜その意義と教訓」と題して特別報告をしました。

<驚いた「ゼロ打ち」当選確実報>
 まず驚いたのは、8時になったとたんに当確が出たんですね。ゼロ打ちというのは、8時になった途端、当確が出るのを、マスコミの言葉でゼロ打ちというのだそうです。ほぼ勝つという話は事前にマスコミの方からは言われていました。ですから当然狭い選対事務所じゃなくて、ワークピアで広い開票センターというものを作りましてね。しかしそうは言っても現職市長も出ていれば、小此木さんというこの間まで大臣だった方が出ていて、この小此木さんに至っては、なんとカジノ反対を言ってるわけですから、カジノ反対と言うのは同じじゃないかとなる。これはそう簡単ではないという思いがありましたから、率直に言うと10時とか11時とか、場合によっては12時とかじゃないのかと思うような気持ちが一方でありながら、現場で待っていました。そしたら、始まった途端ぱっと当確がつくわけですよね。一瞬、僕なんか今までは何回も市長選をやりまして、初めて勝った。コロナ禍の中ですからバンザイというようなことは声を出してはいけないわけですから、一瞬どうするのかと迷うぐらいの思いを、8月22日の午後8時にいたしました。

<勝利の原因>
 今度の選挙の特徴というのはまあいっぱいありますけどもまあやっぱりこの勝利の原因ここに4つ書いておきました。
1.争点が明確だった。全ての争点というわけではなくて市民、一般の人にとって明確な争点はカジノだと。その次はコロナだと。そして中学校給食だとか、前回の選挙で争った争点はいずれも残っている。明確でかつ広い層の支持を受ける、その争点がまさにカジノだった。カジノについては私たちの市民組織で住民投票をやってきた。
2.それから選挙というのは、やっぱり候補者ということはある。候補者が良くなければ勝てないというところはある。そういう意味では候補者の擁立には様々な意見があり、私と立憲民主の江田さんとの間にはかなりシビアな関係になったことも確かですね。ただやはり一つは年齢もありますね。何で横浜は年寄りとまではいわないが、千葉も、大阪も、北海道も、みんな若いじゃないですか。その人がいいかどうかは置いといてね。こういう思いはやはりある。そうしてみると、ついこの間までは横浜市大の教授だった。学長補佐もやっている。そしてカジノには明確に反対を表明した。コロナについても他の候補者と比べれば、お医者さんではないけれど一定の実績、見解を持っている。こういうことが合わさって、思いのほか圧勝した。
3.やっぱりカジノの是非を問う住民投票運動の力というのは大きかった。いろんな大きさがありますけれども、まずねやっぱり住民投票というのは、数は大事ですよ。どんなに重要な問題で住民の要求に沿っていても、法定の要件は6万3000です。6万3千とか7万とかぐらいではかえってそんなもんかと思われちゃうんですよ、一般の受け止め方は。大騒ぎしてそれだけかと、マイナスに動く可能性もある。しかし幸いにして20万8千、その中の有効が19万3千193。この19万3千193という、これが覚えやすいんですね。絶対に忘れません。一休さん、一休さん。戦が続く。いくぞ、いくぞですからね。これ忘れないわけです。これだけの数が集まったことでびっくりしたわけですよ、相手は。今度の選挙は敵のエラー、敵失で勝った、と言われると私は腹が立ちました。何もしないで敵がエラーするのか。やっぱり住民投票のあの力と数に押されてね、そこで敵が揺らぐわけであって。自民党が割れましたねとかね、その通りでしょ。その通りだけれども敵失ではないのです。敵失を導き出したのは何かですよ。すそういう意味では今回の住民投票が大きな勝利の要因を占めたという風に思います。
4.もう一つはどういう陣形たたかうか。まず私たちの発想でこだわったのは、前回市長選挙でカジノ反対、中学校給食等々、その一致点で当時の民進党江田さんグループと組んだ。市民連合を仲立ちにして。しかし民進党全体は林さんだった。あの二の舞ではまた同じということになると。今度はやはり野党がほとんど応援できる陣形をまず作るということにこだわる。そのために若干時期が遅れたりしましたよ。しましたけれども、やはりそこにこだわる。早い話立憲全体が取り組めるのか、当然社民党そのほかの野党も賛同出来るか。
 ですから、本当に勝っちゃうと、僕なんかが目立っちゃうけど実質は2014年からずっとやってきたカジノ反対横浜連絡会ですよ。これがずっとやってきて10月の関内ホールで大きな集会をやってその時に住民投票を提起している。ただやはりそういう枠内だけではなかなか本当に勝つというところまで行けるか、ということでもう少し幅広い組織をやっぱり作って、住民投票だからね。選挙だとなかなか難しいですよ。しかしカジノ反対の住民投票、しかも反対ともいわないで、勝手に決めるな、俺たちに決めさせろという、これには反対するのはおかしいじゃないですか。カジノに対して賛成か反対かどっちか私に決めさせてくださいよっていうのに反対するんですか。反対なら反対って投票すればいいじゃないか。だからそういう意味で行くと本当にこれはね、反対できないでしょ。
 もう一つは立憲民主全体で賛同できるためには、はやばやと組織を作っちゃうとね、どこが言い出したんだ、言い出したところがどこかによっては賛成しない、ということがあるじゃないですか。この辺りは難しい。同じことを言っていても、依然として横須賀では2つの集会がある。ですからどこが言い出すかは難しい。正しければ良いということではない。立憲民主全体で噛むにはどうしたらよいかということで、当時の県連代表の阿部さんとほんとに話をして、それで最初組織を作る前に3回、阿部さんが主催する。その代わり誰が来てもいい、率直に言えばリコールをやる方も来ましたね。そこで本当になんで住民投票なのか住民投票やったって、自民・公明が圧倒的多数の市会で否決されるのわかっているじゃないか。否決されるのがわかっているのになんでそれだけのエネルギーとお金を費やすのかと、厳しくし批判されましたよ。率直に言って某大新聞の記者も私のところに来て、これ負けることが分かっているのになぜやるんですかと何回も聞かれました。しかし一つは、これで勝つか勝たないかもあるけども黙ってはまずいられないでしょ。その次には幅広い要求がここにありますよというのが二つ目。そして、本当に野党間が横並びでできるならばそれなりの力を発揮する。
 そして援軍がいた訳じゃないですか。ハマのドンが。ハマのドンが一貫して「俺は一人になってもたたかう。追い出すなら、俺を殺してから行け」と言っていた。しかし、皆さんから言われましたよ。あの人は色々頑張っているけど最後は利権で転ぶんじゃないか。それはそうかもしれないけども、今あれだけのことを言われていて、そして私たちともエールの交換ができるって言う事なら、それはまた一緒に戦う陣形をどう作るかというのが最大の課題でした。私はまず野党が市民と一緒にやる。それからハマのドンが加わる。私はその住民投票、それから選挙戦を通じて市民と野党の共闘という言葉を使いませんでした。野党横並び、ハマのドン、横浜港リゾート協会、我々市民組織、これが横並びに一緒に戦う陣形という言葉を使いました。あえてそう申し上げてきました。もちろん様々な内部の所では、野党共闘と市民の共同というのが本当に大事にね、これが一番基軸であって、これがなければ駄目だったていうことを言いましたけど。そう言うと藤木さんは、「おれは野党共闘で行くとは言っていない」というかもしれない。「神奈川県で初めての第1号の自民党員がおれだ。」とおっしゃっている方です。「小此木八郎の八郎っておれが名前つけたんだ。」と言われてる人ですよ。その人たちと一緒に戦うことの大切さっていうかね。それが今回の特徴ですよね。ですがなかなか全部がうまくいったわけではない。選挙直後の神奈川新聞の一面の総括の第1回目見出しが「ガラスの団結」と書いてあった。これ私が、当確の時のお祝いの言葉みたいな、まあ当然藤木さんと江田さんと私と3人がしゃべったわけです。
 その時に言ったのは、まずね、野党間だって、共産党だろうと社民党だろうと皆一緒に推薦してやりたいと言ったわけですから。でもそうはできないという形ですよ。推薦は立憲民主だけ。共産・社民は要するに党の自主的支援という形ですからね。まだ課題が残されているわけです。私たちの組織もね、住民投票の時に共同代表をやっていただいた小林節さんも選挙戦になったときに、突如松沢支援にまわられたわけですよ。真意はなかなか僕にもおっしゃらなかったけど、彼の思いは、この大横浜を本当にトップで運営できるのは、それなりの行政経験もあったりしてないと駄目だよ。学者が出てきてやって、これはまたね林さんだって最初の時には民主党から出たけども、も結局自民に取り込まれた。だからそういう意味でいくと行政経験もあるような人間を市長にしないと取り込まれちゃうのだ。全てではないかもしれないけど、小林さんが僕などに言ったことです。我々の市民組織の側でも抜けていった人がいる。野党間も必ずしも緊密なる、皆で推薦して応援するという陣形でもない。しかしそこで私がさっき申し上げた、市民と野党とハマのドンとハーバーリゾート協会というのが最後までそういう陣形の中でやるという。これ私が横浜ハーバーリゾート協会の集まり、今年第1回の集まりをロイヤルホールでされたときに行った。その時に配られたそのパンフレットみたいなものに、市長選挙は横並びこんな団体でたたかうって書いてあった。その中にカジノの是非を決める横浜市民の会、そして政党、野党は立憲から共産から社民から並べて書いてある。そういう陣形で横浜市長選はたたかうと。もうそこに書いてあった。私はびっくりしました。港湾の会社の社長たちを集めたその場で、そういう文書が配られた。これはやはり本気なんだという思いを強く持ちました。そういう陣形が一つ大きな要因だったろう思います。
 そして市民の怒り。今考えるとですよ、4年前の市長選挙に林さんに「白紙」と言わせたことが大事だったんです。あれだけやるやると言っといて急に選挙戦になって「白紙」というのかよ、争点隠しでないかとみんな思ったでしょ。しかし当選された後もちゃんともう「専門家や市民の皆さん議会の皆さんと一緒に是非を研究していく」と言っていたわけですよ。突如2年経ってね、おととしの8月にはカジノをやると言った。 怒らないわけがない。あの時白紙と言わせた力が、前回の市長選挙でカジノを争点化して、そして残念ながら候補の一本化はできなかった。でも一本化していれば46%、42.6ですかね、取っているんですからね、一本化していれば勝ったかもしれない。といことはやはり、やはりそこであそこで言わせたっちゅうのは今回生きてるわけですよ。あの時「白紙」と言わしたから2年後の8月22日、おととしの8月22日のあれは裏切りだとなるわけじゃないですか。公約違反だってなるわけじゃないですか。あれがないとこれだけの怒りに火が付きませんよ。そこでやったことがずっと生きていく。あの時は仕方なくいったんだろうと思っていましたけどね。私はメディアセンター、あの神奈川新聞の1階、青年会議所がやる3候補の立会演説会というのに行きました。 そのとき林さんが「白紙」といったんですよ。後の二人はねカジノ反対。私の隣に真山さんがいました。私と真山さん二人で「やっぱり言ったな」と。つまり争点を隠すな。ただやっぱりそれが今回裏切ったな。
 それから市会議員の皆さんだって半年前の統一地方選挙で市民オンブズマンが全立候補者にアンケートしている。カジノをどう思いますか。賛成と言って受かった人は一人もいないんですよ。現職の市会議員の中で、カジノやるんぞ賛成だと言ったのは誰一人もいないのに、半年もたたない市会でカジノを含む補正予算に賛成しているじゃないですか。これは林の次の裏切りじゃないですか、豹変じゃないですか。そういう流れの中で我々の市民に対してなんなんだこれは。首長も議員さんもこれに怒らないなら本当に私が怒りますよ。みんな怒っていたわけですよ。怒っているところに、住民運動の提起があって、率直に言ってコロナ禍で4ヶ月延期しました。しかも始まった時は9月です。街頭でやったときはもう最初は誰も寄り付かない。こっちから寄って行って、お願いしますって寄って行っても「いいです。いいです」と言う。ビラはいらない要らないという。用意してあるボールペンは使わない。使ったボールペンは一回一回消毒する。連名の署名簿だから前に誰がしたかってを隠す。個人情報の秘匿だ。そういう思いでやって、だんだん盛り上がってきたですね。最初はねこれは本当に集まるかなという思いを最初の一週間や十日間はしました。1か月たった時にだいたい法廷定数をオーバーしたのでね、ちょっと安心しました。
 そんな事をやってたから、やっぱり相手は無視できないと思うから、思うから出る人はみんなカジノ反対というわけです。国会で二つの法案を推進して菅さんの元でそういうことをやろうとしていた小此木さんまで反対と言う。反対と言わなきゃ受からない、と誰もが思うわけです。とりあえず反対と言おうじゃないか、後は知らないよとまではいわないけれどね。そういう流れで多くの立候補者が出てきたというのが、一つの成果なんです。なぜなら今までのような自公がどこまでまとまりきれるか、みたいな構図の中ならあれだけ多くは立候補しませんよ。自分は枠の外じゃないですか。そうじゃなくて新しい動きがでてきてるから俺が出てもね、はっきり言うと昔の名前で出る人も出てくる。でもやっぱり知名度はあるし、もう1回この流れに乗れるんじゃないかと思うから出るわけですよ。だから何も自然的に候補者が増えたわけではない。立候補者が増えてかつ現職と、福田さんはちょっと言った程度だから、カジノ賛成と。ほとんどがカジノ反対で立候補した。私本当は困ったなと思ったんですよ。みんなカジノ反対と言ってることになったら誰が市長になってもカジノ反対になってしまうじゃないか、とみんな思うんじゃないか不安で不安でしょうがありませんでした。そこでやっぱりね、本当に反対なのは誰なんだ。本当に反対を維持できるのはどういうことを考え、どういうポジションにいて、どんな見方をしていたかっていうことで決まるのであって、急に出てきて反対と言ったって、信用しないよという一つの基軸が必要なんではないかということで、我々は住民運動を継承する、一番いいのはあの運動の中から候補者を出す。しかし仮に運動の中で出せないならば、ちゃんと理解し継承するということを明言する。これは、我々の候補者としての要件、条件だっていうことは結構こだわってきたわけです。
 そういうのが色々合わさってきたわけですね。住民投票先に申し上げたけど、リコールと住民投票、今結構いると住民投票一緒にやっていただいて全然かまわないという風に僕は申し上げてきました。富士山に登るのに、山梨側から登るのか静岡側から登るのかの違いだ。 ただ現場の運動じゃなかなかそうはいきません。政党と組むことそのものに大反対の人たちもいた。それからさっき言ったってどうせ否決じゃないか。そういう流れの中でただ双方が、それぞれのやっていくことでお互いの相乗効果で、カジノを巡る横浜市民の意識、状況、そしてそれを見ている敵方がいるわけで、大きな影響があるわけですからこれはもうやりました。この両方のエネルギーがどっかで、ほんと綺麗ごとではないんです。我々だってガラスの団結。ガラスの団結は壊れそうなんだけれども、壊れなかったら立派な団結なんです。まあそれを神奈川新聞が、私が言ったことをそのまま書いてくれましたけど。

<菅退陣と総選挙>
 まあしかし菅さんがそこで総理大臣からは退陣するということまで一気に流れるとまではこれまた予想してないわけですよ。そうとうやっつけたなとは思いましたけど。でもやっぱりそこまではと思っていたわけです。しかし、やっぱり現実にはそこまで行くわけね。今回はこれは総選挙も行くぞと思ったら必ずしもそうはいかない。しかし藤木さんは、前川喜平さんが来たときに2区に来た時に街頭に立って立憲民主岡本の応援演説をされてます。だから約束は守っているんです。
 これから本当に難しいことになるわけで、これらの今日のレジュメもね、ほとんど10月何日かに藤沢で喋ったレジメそのままでして、その時には「総選挙に向けてどう勝つか」という題にしていたんです。この最後の所ですね。そういう風にはならなかった。ただいろいろ立憲民主の党首選挙などあるけれども、でもそういう時に考えるこの判断基準というのかな、自公政治をどう変えるのかというこれが判断基準のわけですよね。今だからあっさり勝ったとか勝たないとかって、それは今の現象としてはあるけれど、じゃあどうすんのかよ。今まだ全然違う戦いを組むのか。維新が伸びて第3極ができるよ。そんな中で今までの自公政権がどう変わるのか、変わらないのか、ということをやっぱり見ていけば、野党共闘と市民の共闘で変えるしか現実的にはないじゃないですか。そこは是非特に私たちは市長選挙をたたかってきているわけですから、確信を持ってね、やっぱりいろんな問題を提起したり、様々な運動を展開すべきだというふうに思います。
ありがとうございました。

【午後/分科会】 8階・9階会議室
@民営化、公務・公共性分科会
●デジタル自治体構想、スーパーシティの現状と課題
国が2026年3月までと定めた自治体DX(デジタルトランスフォーメイション)推進計画。 そのもとで、スーパーシティ構想、自治体版デシタル庁の設置に向けた具体化が進められています。 県内自治体の現状の報告とともに、課題を浮き彫りにし、今後の運動をどう取り組むかを探ります。
【助言者】
久保貴裕氏(地方自治問題研究機構主任研究員)

A環境・まちづくり分科会
●危険盛土や豪雨による土砂・河川氾濫被害を考える
今年熱海市で発生した土石流災害、昨年の多摩川水害は、豪雨とともに違法な残土の放置や水門操作のミスが原因とされています。これらの被災事例から学び、教訓と対策を考えていきます。
【報告】
坂庭国晴氏(NPO法人住まいの改善センター理事長)
太田 滋氏(熱海市盛土流出事故被害者の会)
河内正道氏(リニア新幹線を考える相模原連絡会)
船津 了氏(台風19号多摩川水害を考える川崎の会
【概要】
今回の分科会はテーマとしては「危険盛土や豪雨による土砂、河川氾濫を考える」と題して以下の報告者の方々を擁して行われました。
1 まちを破壊した熱海土石流災害、盛土、残土問題を考える。
   板庭 国晴氏(建設政策研究所顧問、初代理事長、前理事長)
2 熱海市土石流被害にあった体験、今後の展望
   太田 滋氏(熱海市盛土流出事故被害者の会)
3 津久井地域のリニア残土=危険な採石場への巨大盛土=
   河内 正道氏(リニア新幹線を考える相模原連絡会)
4 台風19号多摩川水害を考える取り組みについて
   船津 了氏(台風19号多摩川水害を考える川崎の会事務局長)
5 特別報告
京都から北陸新幹線延伸問題での大深度工法による大量残土問題の懸念について
司会は、実行委員の鈴木久夫さん、コーデイネーターとして矢後保次さんということで進行されました。
参加者は、この数年では、最高の35人近くの方々の参加で行われました。やはり、熱海の土砂災害の被害者からの直接の話や研究者の調査分析が聞けるとして、関心が高かったこともあるが、川崎の多摩川水害訴訟も津久井地域のリニア新幹線盛土問題で取り組んでいる方々も多く参加された結果がこれだけの参加者数になったと思っています。
(1)第1の報告「まちを破壊した熱海土石流災害、盛土、残土問題を考える」がテーマでした。熱海市に在住で、元研究所の事務局をされていた小林茂さんの紹介で、報告者は坂庭国晴氏にお願いした。氏は、建設政策研究所顧問や理事を歴任し、現在は伊東市のほうで、NPO法人「住まいの改善センター」理事長を務めている方で、自身この問題で、毎号調査レポートを関係部署に送っている、大変心強い研究者でもあります。
氏が指摘されたことは、以下の通りでした。
ア)この盛土工事の届け出が、実際には1.2haもの盛土量だったものを、1ha未満として県に申請せず熱海市に提出していたことからの虚偽の申請。
イ)土の中に産廃混入、木くず混入などの事実を市が確認し、中止要請を行ったにもかかわらず、強行されたこと。
ウ)市が残土の盛土工法をより安全な「石を充填した」工法(ダムみたいなもの)から「土を台形に盛り上げる」工法に変更したことを受理。より安全な工法から、危険な工法に変更したことを何故市が受理したのか,究明が必要
エ)6月には土砂運搬車両にかかわり、市民からの通報で口頭指導
オ)土採取当規制条例に基づき報告書の提出、森林法違反に対する指導書の発出
カ)7月には、市が、代理人に対し、土砂流出防止対策や報告書の作成方法を指導
キ)熱海市に残土条例がないため、処分者は規制のない自治体へ食指を伸ばす。
ク)残土条例があったにしても、罰金が100万円以下となっているため、 簡単に違反する業者が後をたたない。
等々が訴えられた。
(2)第二の報告者も、地元の小林茂さんからの紹介で参加いただきました太田茂さんから怒りの報告がありました。太田さんは午前中の全体会でも報告し、同様に午後の部でも訴えていただいた。その迫真の怒りや願いは筆舌尽くせないものであった。本当に怖かったことだと感じた。怒りは、熱海市が県より調査に積極的でないこと、当時の判断が正しかったとか司法の判断を待ちたいとか保身に走っている姿が情けなく、住民の命を軽く見ていることに怒りを感じたと述べられました。また、一方、反省として、地域にこんな危険な箇所があることを全く知らなかったこと、根拠のない安全、安心はダメで、もっと地域を知ることが大切だといわれたことが印象に残りました。
最後に、湯河原の旅館を市が借り上げて、避難所として利用できたことは、温泉街としての熱海市の特徴として評価する一方、担当者から、「市が借り上げている施設内で勝手に他の避難者たちと相談するのはやめてください」と、避難者の連帯を損ねる圧力があったのは、おかしいと指摘されました。
(3)次にリニア新幹線工事に伴う巨大盛土問題の告発を、相模原連絡会の河内氏より語っていただきました。
 リニア新幹線のかかえる問題点は東京調布市の環状道路建設での大崩落事故にみられる大深度工法の危険性だけでなく、東京ドーム51個分を超える6358万?の残土の取り扱いがある。相模原から出る876万?の残土は、津久井地域の新戸、大洞の採石場に処分する計画となっていること。その問題点の一つが、この処分の責任をJR東海は負わず、採石事業者に丸投げしていること。また、この両採石場に近接して横浜水道の水源である道志川が流れていること。横浜市水道局から、要望書も出されたりしており、現場パトロールの徹底化もするようです。高さ60mにものぼる巨大盛土を相模原市が許可した理由が、「採石場跡地の森林復元、及び岩石採取のための作業路として認可」としているが、森林復元になぜ巨大盛土が必要なのかという理由や残土の盛土が採石路の確保の理由にあたらないなど、矛盾だらけの計画となっていること、巨大盛土の直下には新戸集落があり、危険極まりないと警告しました。
(4)最後に、2019年10月12日に起きた台風19号による多摩川洪水が、川からの逆流を防ぐために設けている樋管ゲートの閉め忘れによる川崎市の瑕疵による人災であることを訴え裁判闘争を尽力している、多摩川水害を考える会で事務局長をされている、船津さんよりお話を伺った。自身も、住宅が1階まで水没し、大きな被害がでた方でもあった。
これも、熱海と同様に、行政が瑕疵を認めず、想定外として、住民の損害賠償に応じない、無責任さを露呈した事象であること。取り組みとしては、学習会を2019年12月から4回実施し、署名の取り組みも、被害にあった周辺住民で7648名、一方、タワーマンションの方々と連帯して取り組む困難性があったにせよ、12棟ある高層マンション7076世帯のうち署名が1780人も集まるなど、団結が深まったと報告された。また、議会への働きかけを行い、みらい市議団と共産党市議団から要望書を市議会へ提出していただいた。昨年10月3日にようやく口頭弁論が始まり、これからもより多くの方が原告団に加わること、水害の事実について宣伝を活動を広げること等幅広く、粘り強い裁判闘争を展開していくことを述べられました。
(5)質疑・討論では、まずわざわざ、京都市から駆け付けた2人の元京都市職労の方々から、北陸新幹線の延伸問題での大きな住民運動の取り組み等が報告された。その要旨は次のとおり。
@北陸新幹線延伸工事は金沢から京都を縦断し、大阪まで延伸する壮大な計画となっているが、現在、京都では都市計画決定の縦覧が始まろうとしており、それを簡単に通したら、そこで事業が決定してしまうので、都市計画決定の縦覧こそ勝負をしていかなくてはならないこと。一般的に、住民の目に見えない、まだ姿、形が見えない段階は、住民の関心が低いことが一般的だが、この段階で阻止させることこそ大事だと考え。大きな住民運動に発展させるための教材を勉強するために来たこと。
Aもう既に、金沢〜敦賀管工事は2012年に着工し、環境基準の3倍を超えるヒ素が検出されたため、工事が中断状態に追い込まれていること。
B京都市内から大阪までは、あの地下40m以上の掘削は、住民同意がなくても掘削できるという,大深度工法で工事をすることを予定していること、京都府丹波地域では、事前由来のヒ素濃度、マンガン濃度が高く、有害残土や汚染地下水が大量に発生する恐れがあること、何よりも調布市で起きた大陥没事故が起きない保証はないことなどから反対運動を展開したい旨の発言がされた。

B子育て・教育分科会
●コロナ禍で進む教育のデジタル化
学校の休校、変則授業、行事の自粛の中、GIGAスクール、オンライン授業が進行しています。少人数学級が実現する一方で小中一貫校なども進められようとしています。これらの問題をみんなで考えましょう。
【概要】
レポーターの報告
1 「GIGAスクール構想」とは 誰のための何のためのものなのか
2019年12月に政府により突然発表され、当該年度の補正予算に組み込まれた構想。
内容:児童生徒に一人一台の端末を配備し、日本中の学校を高速大容量の通信ネットワークで結んで校内LANも整備する。
教育界におけるICT環境の整備は、これまで一向に進まなかったのに、なぜ突如として巨額の国家予算が注ぎ込まれることになった相応の理由は、背景にある財界と政府がしゃかりきになって進めている、AI(人工知能)、ロボット工学といった最新テクノロジーの発展とその活用により、新たな経済成長が見込めると同時に社会的課題の解決もできるというのである。
※生産手段である人工知能などが産業戦略につながったとしても、社会的課題の解決も期待できると考えるのには無理がある。(貧困・格差 差別・偏見、いじめ・不登校……) 以下略
2.小学校での実践報告(横浜市内小学校)
メリット:動画の導入による理解の深まり。感想文など作文用紙の画面に字を打ち込むので、音声入力もあり、鉛筆・消しゴムも使わず書き直しもできることからストレスなく文章が書けた。カメラの使用により、変化の記録や手本との比較など幅広く考えたことが表現できた。
デメリット:情報視聴覚担当の一部教員の負担の増加。教材開発会社など、企業の教育業界への参入による学習方法の画一化への危惧。子どもの発達を考えると、五官の発達や自我の形成と他者との分化をしていく時期に、タブレットしか使わない事への弊害は容易に想像できる。
課題:アナログとデジタルの否定的な側面を否定し、積極的な面を選択していくこと   3.中学校での実践報告(横浜市内小学校) 報告集分科会の資料参照
 メリット:不登校の子も参加しやすい。
 デメリット:家庭よって、生徒によって家で活用できるかどうかに差があった。
予想外の情報モラルに関わる問題もお小安くなる。例:他人の資料を勝手に操作したり、誤って消したりする。分散登校中はすべての授業。すべての教科とまでは言えないが、「非常に便利」かつ「有効な使い方も可能」だと感じた。
<参加者の意見>
*端末は5年で更新だが、だれが負担するか、まだ決まっていない。まさか保護者負担では…。
*高校では端末を配布しない。スマホの活用が7〜8割。
*学校は子どもたちが一堂に集まってぶつかり合って(交流し触れ合って)、人間として成長していく場。端末を中心の学習では人間らしさ、人格の成長・完成は望めない。
*忙しさの中で、社会から目を背けたり、政治的無関心になったりするのは(本当はあってはならない)教員ばかりではない。
*忙しくない人は誰もいない。また、卒業した後、学ぶことはすごく少ない。子どもたちが学校での「学び」を大切にしていけるように、世の中全体を変えなければならない。
【参加者アンケートから】
*GIGAスクールの開始にあたって、現場の状況に触れることができました。現場で直接教える立場ではないので、分科会にお役に立てなくて申し訳ございません。今後は市町村の財政について深めたかったです。
*端末授業についてほとんど知っている現状の話だった。デジタル教育が入ってきているが、人と人が一緒に学ぶことが大事という意見はたくさん出たがその先(タブレット学習をやらざる得ない)デメリットの対策までの話までにはなりにくかった。
C平和・基地分科会
●基地と土地利用規制法
安全保障上、重要とみなす基地や原発などの周囲1キロと国境離島を「注視区域」に指定し、土地・建物の所有者や賃借人らを調査し、場合によっては利用中止を勧告・命令し、違反すれば罰則。こうした土地利用規制法の廃止をめざし、学びます。
【講師】
菅沼幹雄氏(キャンプ座間周辺連絡会代表委員)
【概要】
講演の要旨は以下の通り。
 「重要施設周辺及び国境離島等における土地利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」(「土地利用規制法」)はマスコミがその本質を伝えていない。その目的は、安全保障のために基地・島などの働きを妨害する行為を排除することである。
そのために「@基本方針の策定A区域の指定B利用状況の調査C土地(建物)利用の規制D契約の届け出」をやるということであるが、その内容は閣議で決め、国会審議はなく白紙委任してしまうというもの。
「2年以下の懲役」等の罰則もあり、反戦地主や法人が基地機能阻害すれば一網打尽にすることができる。国民を日常的に監視できる体制。狙いは戦争準備のために国民を監視し弾圧することにある。
今後は神奈川でも基地反対のための市民集会の公園利用、デモ行進、カメラ・ビデオ撮影等が取り締まりの対象となる。本来なら住民こそが基地被害者である。基地こそ取り締まらなければならない。
なお、戦前・戦中にも同じような法律があった。治安維持法、要塞地帯法、軍機保護法、国家総動員法等がそれである。当時と同じ法律がつくられようとしている。
政府はいよいよ本丸である憲法第9条と「緊急事態条項」に手をつけようとしている。再び治安維持法を回帰させてはならない。このような法律が成立すれば、適用範囲が拡張されることは今までの歴史が証明している。土地利用規制法を施行させてはならない。
戦前と今が違うのは、昔は帝国憲法、今は日本国憲法が私たちの手にあることである。
講演の後、質疑・討論を行いました。横浜、相模原、座間、横須賀など県内各地域の状況と運動について意見交流を行いました。「中国の脅威」「台湾有事」などを口実として、米軍と自衛隊が一体化している実態が県内の各基地の状況を見ても明らかになってきました。
午前の全体会では「デジタル社会」、分科会では「土地利用規制法」を学び、この両者は個別の問題ではなく、「戦争できる国づくり」の流れの中で見ていかなければならないと思いました。住民を監視するのでなく、住民の福祉と生活をまもる自治体の役割をあらためて考えることができました。

D地域経済・産業分科会
●マイナンバーカードと業者、市民の個人情報保護
政府が普及に力を入れている、マイナンバーカード。その利便性と裏に潜む危険性について考えます。
【概要】
今年度の地域経済・産業分科会は、マイナンバーを始め、「インボイス」制度が、2016年度税制改正で創設され、2021年10月1日から届け出が開始され、2023年10月から施工されることになっており、2022年からは、「電子帳簿保存法」の施工が始まる。こうしたことは、デジタル化を推進するとした方向のもとに進められている。こうした状況の中で「デジタル化」の推進は、地域経済の中心的存在である中小業者にとってメリットになるのか、地域経済の発展にとってメリットはあるのか。問題点を含め議論を深める分科会として開くことにしました。
 分科会で最初の報告は、税理士の益子良一さんに「インボイス制度と電子帳簿保存法の問題点」と題して報告をしてもらいました。
 益子税理士からの主な報告内容は、インボイス制度が導入されると、仕入れ税額控除の要件として「適格請求発行業者=登録事業者」が交付する「適格請求書=インボイス」等の保存が求められることに。こうした制度の目的は一体何か。
 「建前」は、消費税の複数税率制度の対応した仕入れ税額控除の方式といわれているが、「本音」は、大企業の輸出免税が諸外国から「隠れた補助金」と言われないための方策。つまり国が全ての経済取引を把握したい。これも電子庁構想の一環とのこと。
 更に、インボイス制度の問題点は何かについては、
@事業者は、売上金額が1000万円以下でも課税業者になることを求められる。
 現在は、消費税の申告は、売上金額が1000万円以下の場合は、消費税について免税事業者として消費税の申告義務が無い。
Aインボイス制度のもとでは、課税業者(売り上げが1000万円以上の業者)は、「適格請求書発行事業者」にならざるを得ない。
B消費税の仕組みから免税事業者は、取引先から排除されることになる。
 国に登録番号により全てと言ってよい経済取引が管理されることから地域経済に混乱と打撃を与えかねないことになる。これは、中小零細業者の廃業の引き金となることに。
以上のような報告後、電子帳簿保存法についての報告があり、最初に、「電子帳簿保存法」とは何かについて報告がありました。
電子帳簿保存法とは、『各税法で原則紙での保存が義務付けられている帳簿書類について一定の要件を満たした上で「電子データ」(電磁的記録)による保存を可能とすること及び電子的に授受した取引情報の保存義務等を定めた法律のことであり、三つの改正事項からなっている。
 @電子帳簿等保存に関する改正事項
 Aスキャナ保存に関する改正事項
 B電子取引に関する改正事項
以上3項目について説明がありました。
 また、保存法の問題点は、
 @ダウンロードに応じないと青色申告が取り消される事に。
 A税務署職員による資料の持ち帰りが
 B更にUSBにダウンロードすると思われることから情報漏洩の危険性がうまれることに。
以上のように、デジタル化の名の下に、数々の問題点が浮き彫りになることが報告されました。
 報告後、意見交流がおこなわれましたが、参加者から、不安の声が多く寄せられた交流になりました。
益子税理の報告後、桜美林大学の藤田教授から、日本のデジタル化の諸問題」と題して報告がありました。
  藤田教授の報告では、まず日本のデジタル化の問題点として、コロナ禍の中で政府のネットワーク・システムが、効率性を発揮するどころか多くの混乱を招き、その最大の原因は、各種のネットワークが連携していなかったことであると詳細にわたって報告がありました。
 具体的には、感染症届け出受理、ワクチンの在庫管理、ワクチンの接種記録システムの連携などです。  更に「ココア」(感染追跡対策接触アプリ)の不具合が何故起きたのかアプリの作成における重層的な下請け構造の問題点についても詳細にわたって報告がありました。
 特にこの中では、厚生労働省から随意契約をした「パーソナル&テクノロジー」に3億9036万円が支払られ、更に再委託として「日本マイクロソフト」に8416万円、「エムティーアイ」に1億9093万円、「フィクサー」に9333万円、更に再々委託として2社と契約を結んでいることが報告されました。  また、日本のデジタル化、ネットワーク化の根本的な欠陥は、「高速道路を馬車で走らせるようなもの」と評されるように大企業に依存し、各省庁や企業の進め方に合わせて構築するやり方に問題があるとのこと。
 以上の点を踏まえて、日本のデジタル政府の構想とは、どのようなものなのか、その歴史と問題点についても詳細な報告が行われました。 現在すすめられている「スマートシティー構想」(日本では、トヨタとNTTが静岡県裾野市の東富士工場の跡地に建設がすすめられている)についても報告が行われました。
 以上の報告を受け意見交流が行われ参加者からは、活発な意見が出され有意義な分科会になりました。
 特に、今回は業者の参加が多くあったことから、身近な問題と結びつけての質問などが出さ議論が深まったと感じました。
 最後に両講師から、信頼される政府が必要なこと。情報の主権の確立が重要であることが強調され分科会を終了しました。

E社会保障分科会
  ●コロナ禍で保健所はどうなっているか
コロナ禍での保健所の状況、とりわけ第5波で自宅療養が多くなった時期の保健所の状況を報告していただきます。 そのうえで、浮かび上がった保健所に求められる機能と役割について議論します。
【報告】
県内自治体の保健所職員、民間病院看護師等
【概要】
神奈川県・横浜市などの保健師さんに参加していただきコロナ禍の保健所の状況、とくに第5波で自宅療養が多くなった時期の保健所の状況について報告・交流した。
まずは、感染拡大が継続するなかで、保健師をはじめ現場の職員の過酷な業務実態などが生々しく報告・訴えられ、この時期に分科会が開催されたことは意義深かった。
<各報告者から以下の報告がされた>
●神奈川県の保健所問題の概要⇒全所一丸となった取り組みがすすめられた、終わりの見えない時間外は100時間超が続き、81時間が71人にも及んだ。時間外条例に規制がないため、制限をかける取り組みが強く求められている。
●神奈川県の保健所職場の状況⇒県の保健所業務は開設などの企画調整や医療監視など多岐にわたっており、感染対策では他部署から850人の応援や派遣看護師の配置などが行われた。第5波の8月は、1日1400人規模のライン登録・発生届などの多岐の対応があり、疫学調査までに2日を要したり、容体悪化にも遅くまで対応する過酷な状況であった。「神奈川モデル」がだされたが、現場ではわからない状況だった。
●横浜市の保健所問題の概要⇒保健所は、地域住民にとって公衆衛生を担う重要な役割をもっているのにもかかわらず、全国的に1992年から減らされ、横浜市では18の保健所が再編され、1保健所と支所体制になった。保健師業務も総合的な内容から担当制に移行するなかで、今回のような感染症に対応できない脆弱さが露呈した。第5波のピーク時は、調査までに4〜5日かかり、入院の必要があっても困難で、まさに医療崩壊という状況で、修羅場だった。あらためて公衆衛生のあるべき体制を再構築していく必要がある。
●川崎市の民間病院の状況⇒川崎の民間病院では、陽性者の受け入れや発生にたいし、市職員の支援や、深夜に及ぶフォーローの電話対応がされ、保険所業務の多さと不眠不休の頑張りを直接感じた。透析陽性患者の対応も行ったが、隔離など大変だった。
<その後の質疑・交流>
その後の質疑・交流では、保健所体制の脆弱さが指摘された。
〇再編等のなかで、所長が必ずしも医師でなくても可能になったが、陽性患者の病院との折衝には医師は欠かせない重要な役割をもつ。 〇県域の保健所は広域で虫食い状態の不効率な配置になっている。
〇横浜市の保健師業務はかつての総合的な業務内容から担当制となり、非常時の対応に課題がでた。
〇小児や母子、虐待の対応が後回しにならざるを得なかった。
〇また、ワクチン接種など看護師等の確保に高額な時給を支給する実態が見られたが、必要な従事者に適切な補助金を支給すべき。

F女性行政分科会 
●ジェンダーの視点で考える防災
2020年5月、内閣男女共同参画局は「災害対応力を強化する女性の視点―男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン」を策定しました。地震や豪雨などによる災害時に、避難所や仮設住宅などにおける女性や子ども、障害者に対する対応や対策は、どうするか。防災をジェンダーの視点からとらえ、住民や自治体が果たすべき役割を考えていきます。
 【講師】
秦 好子氏(防災教育推進協会常務理事、環境・防災コンサルタント)/各分野からの問題提起
【概要】
最初に、秦好子さん((一財)防災教育推進協会常務理事)からのお話を聞き、意見交換した。
秦さんは、本題の「男女共同参加の視点からの防災・復興・避難対策」に入る前に、乳幼児期に終戦を迎えたこと、1968年から横浜市消防局消防士として人命尊重を基本に勤務にあたり、退職後も東日本大震災・気仙沼市支援や熊本地震益城町での支援をはじめとした活動で経験したことを具体的な事例で話した。戦争や災害時には、小さい子を抱えた女性や高齢者、障がい者など弱い立場の人々を視点に災害に強いまちづくりや避難所の対策が必要と力説した。
演題の「男女共同参加の視点からの防災・復興・避難対策」では、「認知症GH(グループホーム)アンケ―ト調査」(認知症グループホーム協会)をもとに話を進めた。要旨は次のとおりである。
秦さんは、認知症グループホーム協会からの講演依頼があり、同協会会員対象にアンケートを実施したとのことである。その結果から認知症GH(グループホーム)の防災の視点でどのような課題を抱えているかを報告した。
グループホームの立地は、ハザードマップからも災害時何らかの被害(浸水、土砂災害など)が想定される施設が80%にも及んでいる。職員も利用者9人に対し昼間は職員が3人、夜は職員が1人と災害時の避難には職員のみでの誘導は不可能と57.4%にもなる。また、ケアする職員も非正規職員となっている。
備蓄は2日〜3日分が78.5%と、5日以上はわずかに21.6%である。避難先の「福祉避難所」を指定されているかについては、54%が「指定されていない」、「指定されている」はわずか23.9%である。行政から「福祉避難所」として災害弱者受入れの指定又は協力依頼を受けているかについては、「受けていない」が82.7%となっている。災害時に有償で旅館ホテルを避難所としての利用を検討しているかについては、94.7%がしていないと答え、その理由として、「費用負担が厳しい」「人員不足」「対応方法がわからない」としている。
アンケート結果からも、平成17年度(2005年度)に改正された介護保険法で「地域未着型のサービスの創設」されたが、災害時のサービス提供が抜け落ちている。多発する自然災害からの安全避難先確保は、介護保険制度の中で、災害時の対応の明確化と避難先で福祉サービスが継続できる対策が必要と強調した。
復興庁の報告書(平成24年、2012年)にも「一時的な避難場所と、中長期的な生活の場としての避難所を明確に峻別して市町村が指定を行うべきである」とあるが、安全で確実な避難が自治体で遵守されていないのが現状である。
さらに、認知症GHについては、〇福祉施設所管=厚生労働省、〇水害・がけ崩れ=国交省、〇消防法=消防庁、など、防災対策の所管省庁がバラバラになっていることが明らかになった。しかも、災害弱者のカテゴリー別に配慮すべき事項には全く触れられていない。認知や障害の程度も違う中で、福祉避難所はカテゴリー別に作らせていくことが必要。災害時は、自助ではなく国・自治体の責任であると強調した。
次の意見交換では、「孫が介護職、一人勤務の時もある。施設にもよるが災害時にどのような対応ができるのか」「コロナ禍の子ども食堂、最終的にはお米しか残らなかった」「介護施設では、外国人のヘルパーしかいないとこともある。災害時の避難をどうするかの基準やマニュアルはあるのか」「東京も神奈川県も食料自給率低い、命を守ることはできない。個人的に多古町に部屋を借りて、週に1回は通っている」「ジェンダーの視点で考えたいと参加。建設労連では町の救援隊活動で、仮設住宅の建設にかかわっている。女性や子どもの視点で考えていない。食糧支援や相談会もおこなっている」「仮設住宅など、神奈川県と協定を結んでいる」など、活発な意見交換がされた。
秦さんは、一つひとつに丁寧に回答。例えば、野菜くずを乾燥させ、災害時に備え、「備蓄乾燥野菜」を作り置きしておくこと。プランタートイレなど、日常の生活の中に防災への気付きを取り入れることを提案。また、仮設住宅も木材を活用し、建物だけではなく、女性の目線で家財道具をセットで備え付けること、行政で住宅を借り上げることなどの提案がされた。
この間、気候変動の影響も加わり、世界各地で様々な災害が発生している。それだけではなく、グローバル化による新たな感染症の爆発的な拡大など、自然災害や人災も多様化している。そのような中、真っ先に被害をこうむるのは、女性、子ども、高齢者、障がい者など弱い立場の人々である。弱者こそ国や自治体が手を差し伸べることが急務であるが、災害の度にその盲点が反省されることがあっても、その準備は遅々として進まない。まさに、秦さんが報告された認知症GHのアンケートの結果からも浮き彫りになった。防災を考えるときにはジェンダーの視点で考え、実践することが求められていること、気が付いた者から声を出していくことが必要であると感じた分科会であった。

【楽しく学ぶ地方財政講座】
●まちの財政を身近なものに
「税金」とその使い道は?住民の願いを実現するには?楽しく学んで、住民力・議員力・職員力をアップしよう!
「まちの財政」を、楽しく学びませんか。しくみを知り、数字や用語に親しみ、講義と討論を通じて、理解を深める講座です。初めての人からベテランの人まで、新しい発見を体験できる講座です。
日時:11月13日(土)午前10時から午後3時30分
会場:横浜市健康福祉総合センター 8B会議室
講師:内山 正徳氏(研究所副理事長)
定員:25人
参加費:2000円(会員は1500円、学生・院生1000円)
申込:11月5日までに氏名と連絡先を神奈川自治体問題研究所へ。別途案内を送ります。

主催:第49回神奈川自治体学校実行委員会/事務局 神奈川自治体問題研究所  TEL・FAX(045)252−3948  メール:kanagawajitiken@siju.or.jp *参加者はマスク着用を。ホールでの飲食、会議室での食事不可。昼食は周辺の飲食店をご利用ください。 申込:次の内容をFAX(045)252−3948かメールkanagawajitiken@siju.or.jpでご連絡ください。
参加者:氏名         所属             
参加区分:1.全体会と分科会(   分科会)   2.全体会のみ  3.分科会のみ(    分科会)
地方財政講座:参加する   参加しない

                    

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2019年に開催した、第47回神奈川自治体学校のもようはこちら
2018年に開催した、第46回神奈川自治体学校のもようはこちら
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2016年に開催した、第44回神奈川自治体学校のもようはこちら
2015年に開催した、第43回神奈川自治体学校のもようはこちら
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2022年6月29日更新